「大人のまじめなカバーシリーズ」 収録新曲感想
安藤裕子 『大人のまじめなカバーシリーズ』 初回限定盤CD+DVD入手しました。
レコード(しかもドーナツ盤)に見立てたCDデザインが、このアルバムの大方の収録曲のオリジナル曲のリリース時期、年代を感じさせます。
それでは、さっそく新曲だけでも簡単に感想を。
「ジ・アザー・サイド・オブ・ライフ」
アンディーさんのお宅をタカシくんとねえやんが訪問して簡易録音したという、とっても味わいのある曲からスタート。
いつものメンツで、肩ひじ張らないで音を嗜むようなギターの乾いた音色。 その音符記号が、窓辺の冬の澄みわたった空にゆっくりと昇っていくよう。
生活ノイズが入ったり、他の曲に比べてちょっと音が小さかったりするのだけれども、あえてそれを狙っていて、このカバーアルバムを聴く人にまずゆったりとリラックスしてもらうための、贅沢なオードブルといったところでしょうか。
ギターを弾いているのは、やっぱりねえやんじゃなくてタカシくんなんだけど、ねえやんがギターを抱えて歌っているイメージで聴いてしまいます。
「林檎殺人事件」
池田貴史さんと安藤裕子ねえやんの、とっても楽しげなアンサンブル。 実際、ねえやんの笑い声も入ってますね。
それにしても、ねえやん、歌上手くなったなぁ~(笑) 池田貴史さんはソフトな声で耳に心地いいです。
冒頭にあえて、録音時の確認の会話の声をそのまま入れてますね。 あれはPVだけかと思っていました。
「松田の子守唄」
安藤裕子ねえやんがまさかサザンをやるとは思っていませんでした。 すこし籠った音のようですが、この曲の雰囲気に合わせているのでしょう。 原曲もせつないですが、ねえやんが歌うとさらにせつなさが増すようです。 短めの曲ですが、こういう沁みる曲こそ安藤裕子の真骨頂発揮ですね。
「ワールズエンド・スーパーノヴァ」
弦ですよ、弦。 ストリングスの豊かな音色でとても贅沢に仕上がってます。 ハープの音色が優美で女性的なアレンジであり、激しかったバンドライブの時とはかなり違った印象です。 むしろこっちの方が、声質なんかはいつものねえやんらしいかもですね。
「ワールズエンド・スーパーノヴァ live ver.」
安藤裕子初のライブバージョン収録曲。
このライブバージョン、東京国際フォーラム ホールAで収録したものでしたか。 もちろん私もこの時この場所にいました。
そうかぁ、今から思えば、初日のSHIBUYA-AXの時より、全体的に、丁寧、というか完成度が高いというか、あまり冒険しすぎることはなく無難に、そんな感じに思えた演奏だったんですよね。 「もしかして録音してるのかな?」と一瞬頭をかすめたのを思い出しました。 私にとって2回目だったということもあるのか、インパクトではSHIBUYA-AXに若干負けてるような気もしますが、でも、オタマトーンもジャンボになってたし(笑)、こちらの方が聴きやすくて良かったかも。
このライブバージョン、ねえやんの声に、良い意味で緊張感があり、ノリもよく、この曲のアレンジには陶酔感を覚えます。
間奏でオタマトーンがキュインキュイン鳴いてます。 ギターカッコよすぎ!
さて、DVDの方ですが、
「林檎殺人事件」のPVの収録はもちろんですが、やはり目玉は「本人による全曲解説」ですね!
安藤裕子ねえやんにしてはめずらしく真正面のカメラ目線。 しかも、ドアップ。 ねえやんが目の前にいるみたいでなんかドキドキしますね。
渋谷のインストアライブで握手してもらったときのことを思い出しました。 あ~恥ずかし!
セルフ撮影のためか、カメラがだんだん上向いちゃって、首から上しか見えない時なんかもあったりするのはご愛敬。 前歯がウサギちゃんみたいでかわいい! それにやっぱり目でっか! 肌きれい。
細野さんに褒められたなんて、よかったね、ねえやん。
「春咲小紅」以来、8年ほど安藤裕子ねえやんはカバーというものを続けてきたわけですが、今回、カバーアルバムをリリースした理由というのは、単にカバーアルバムが流行っているからってわけではなく(営業サイドからすればそれもあるのでしょうけど)、これからも「安藤裕子」として長く音楽活動を続けていく上で、ここらでひとつ、素晴らしい先人のエッセンスを自分のものにしておきたいという意識、そういった希望があったからではないでしょうか。 ねえやんが新たな「安藤裕子の音楽」をつくっていく上で必要な栄養源であり、咀嚼であったのだと思うのです。
さらに「次の安藤裕子」が楽しみになってくる、そんな素晴らしいカバーアルバムでした。