TOKYO M.A.P.S フリーライブ 5/3
ゴールデンウィーク真っ只中の5/3と5/4、六本木ヒルズとJ-WAVEのコラボ企画フリーライブイベント「TOKYO M.A.P.S」 YUKIHIRO TAKAHASHI EDITION が開催されました。
安藤裕子ねえやんの出演は初日の5/3の17時からでしたが、私はその日の最初から最後まで参加しました。
高橋幸宏氏がプログラム・オーガナイザーとなり、このイベントのコンセプト「WORLD HAPPINESS & SMALL PEACE」に賛同するアーティストが集まりました。
「非日常にこそホッとできる瞬間がある」との高橋幸宏さんの言葉にもあるように、震災後2カ月も経たない中、心の緊張を緩めるのに良いタイミングだと思いました。 もちろん会場では義援金も募っていました。
しかし、あいにくの雨。 スタート時はそうでもなかったけれど、雨が強くなるにつれ、寒さが増していきました。
半屋外の会場で、会場を覆う丸い大きな透明な屋根はあるのだけれど、横から風にのって小雨が入り込む他、実はこの屋根には継ぎ目に少し隙間が開いていて、そこからたまに大き目の雨粒がポタンと落ちてくる。
ただ、フリーライブとしては、内容はとても豪華なものだった。
しかも、けっこうすぐ近くで観れて、これ本当に無料でいいの?
5/3のタイムテーブルは以下のとおりです。
13時~ コトリンゴ
14時~ mito (クラムボン)
15時~ トクマルシューゴ
16時~ 坂本美雨
17時~ 安藤裕子
19時~ TYTYT (高橋幸宏 + 宮内優里 + 高野寛 + 権藤知彦)
一発目のコトリンゴさん。
体は細くて、話し方もフワフワしていて、妖精のような方ですね。 天然キャラだから、オチの無い話までも、自然と人を微笑ませてくれます。
安藤裕子ねえやんも歌詞をコトリンゴさんに提供したり、月桂冠のCMつながりもあって縁があります。
「安藤裕子ちゃん」と言っていたのが印象的でした。 仲良いみたいですね。
もちろん、あの月桂冠のCM曲「こんにちは またあした」も歌ってくれました。
安藤裕子、コトリンゴが曲を担当していたあの頃の月桂冠のCMシリーズは良かったなぁ~
またあのテイストのCMやってくれないかな、月桂冠さん。
あと、これはもちろん高橋幸宏おじ様からの直接の誘いでの参加でしょう、坂本龍一氏と矢野顕子さんの間の愛娘、坂本美雨さんが素晴らしかった。 こんなに伸びやかできれいな歌声だったんですね。 デビュー曲以外は聴いたことがなかったもんで。
デビュー曲「The Other Side of Love」から、「THE NEVER ENDING STORY」、「You Raise Me Up」など有名な曲を、とても安定した美声で聴かせてくれました。
続いての登場は我らが安藤裕子。
デビュー当時のねえやんの髪形みたいに 右分けで左に前髪を垂らしていました。 (唄っている最中、何度も前髪を直していた。)
タイトな黒いジャケットの左胸に星形のキラキラアクセサリーを付け、オリーブ色のインナーを着ていました。 腰には冷え予防なのか、ストールみたいなのをモコモコ巻き付けてましたね。 あとはいつものTEXASのダボダボダメージドジーンズ。
大人っぽい黒いジャケットがなんだか印象的で、お婆さんが亡くなったということもあり、ねえやんなりの喪服なのかなと、私には思えました。 (考えすぎかな?)
他のアーティストの方々は皆さん事前の打ち合わせやリハーサルをやっていたのだけれど、安藤裕子チームはもっさんとタカシくんだけで、ねえやんはずっと引っ込んでいました。 いよいよ本番で初めて登場して舞台に上がっても、これまた他のアーティストとは違い、ほとんどしゃべることなく、また、ニコニコ笑顔を見せるわけでもなく、テンション低くてちょっと怖い感じ。 こういう時のねえやんって、必ずものすごく緊張している時なんですよね。 そして、すぐに唄い出すねえやん。
「ジ・アザー・サイド・オブ・ライフ」
すこしまだ固さのある感じだったけれど、ライブで初めて聴けたことが嬉しかった。
1曲歌ってしばらくMCが入るのかと思いきや、
「こんにちは安藤裕子です、雨、屋根大丈夫ですか、濡れてないですか?」 (ボソボソ…)
「寒いから、ちゃっちゃとやっちゃお」 (え、もう?)
相変わらずのMC下手。 この不器用さがいいんですけどね。
「夜と星の足跡 3つの提示」
よいアレンジ、ねえやんの歌声は火が付いたように熱量がありました。
「ワールズエンド・スーパーノヴァ」
アコースティックバージョンと呼べるもので、前回のライブとはまったく別のアレンジで、とてもよかったのですが、途中歌詞が2箇所ほど続けて失念したようで、唄い終えた時は、泣きそうな顔で「失敗したぁ~」って表情していました。
歌詞が出てこない刹那の沈黙、ねえやんの感情とシンクロしたみたいに、私まで頭が真っ白になりそうな感覚が襲ってきましたよ。 (汗)
「なんとか乗り切ってー!」と、7~8メートルほど先にいる、潰れてしまいそうなねえやんに祈りの念を飛ばしてました(笑)
でも、このバージョンはきっと今度のアコースティックライブでも完成度を高めて披露されることでしょう。
「問うてる」
イントロと同時にみんな手拍子。 どうやらねえやんファン多いですね。
ねえやん目的でいらした方がもしかしたら一番多かったのかな?
前の方の席にいた女の子グループも、また、朝6時から列の一番前に並んでいたという男性も、目的は安藤裕子だと司会に訊かれて答えていました。
「地平線まで」
震災のこと、そして自身の「最愛のおばあちゃん」を亡くしたということを語っていました。
この曲をライブで聴くのはもちろん初めてなんですが、やはりというか、涙が滲みました。
そして、ねえやん自身も唄い終える時には、目に涙を浮かべていました。
こういうイベントで泣くというのは、ねえやんを知らない人には、ちょっとびっくりすることだったかもしれません。
六本木ヒルズって場所は、ねえやんにはあまり似つかわしくない場所だけれども、この六本木ヒルズにねえやんの歌声が響き渡っているという事実が、ねえやんをよく知らない人もいるであろう中で、ファンとして誇らしく嬉しかった。 「東京の中心地でねえやんの歌声が轟いている」ってかんじで(笑)
ねえやんの歌声は、絶対的な声量とか、美声とか、テクニックなどでは測れない、魂の叫びそのもの。
作る曲、紡ぐ言葉、心を裸にした歌声。
人のハートを打つことがアートの真髄だとすれば、安藤裕子は真のアーティストなんだと、こういった場であらためて再確認できました。
ねえやんは自分の出演の後、ラジオの生放送に再出演するために、すこし早目に舞台に上がってきました。 まだスタッフさんがバタバタと準備作業をしている中、ひとり舞台の端の方に行き、雨空を覗き込むように見上げている姿が印象的でした。 外もすっかり暗くなり、震災後の節電モードの薄暗い会場で、強くなってきた雨音と雨まじりの寒い横風が吹く中、一つ屋根の下で、ねえやんの近くに居れたあのなんでもない短い時間が、私にはなんだかとてもいとおしく思えたのでした。
最後の高橋幸宏さんのTYTYTのパフォーマンスもよかったです。 アコースティックとテクノポップの要素を織り交ぜた不思議でポップな音楽空間演出でした。 幸宏さんはほんと大人かっこいい人ですね。 憧れます。