安藤裕子 LIVE 2012 「勘違い」 東京国際フォーラム ホールA に行ってきました。

今回は、ライブの内容そのものについてはあまり多くは語らないでおこう。
ねえやんの、これまでの毎度のライブの緊張とは少し違うような、怖れのような、怯えのような…
バンドメンバーとの連携は崩れ、音はズレ、声の線はどこか細く、歌声はかき消され、歌詞は飛び、泣き出しては歌えなくなり、さよならを告げることもできないまま終演した。
こんな結果は、私はこれまでの安藤裕子のライブでは経験したことがなかった。 それもこんな大きな会場でやってしまったのだ。 ねえやんの今の気持ちを思うといたたまれない。
まだ早すぎたのかもしれない。
体力も、心も、ライブの準備も、全てが整っていなかったままだったんだろう。
声の美しさにはむしろ磨きがかかっていたと感じたのだけれど。
私は、ねえやんがステージを走り去った後の、暗転したステージをただじっと眺めていた。
まったく自信を無くしてしまったかのようなねえやん。
「JAPANESE POP」のライブの時は、あれだけ堂々として自信に満ちていたように見えたのに。 あの時とは別人のよう。
今回ひっさげてきたアルバム自体、まだねえやんの中で消化しきれていないままだったのかもしれない。
受け取る側の私たちは良いアルバムだと思っていても、アーティストであるねえやんは、どこか納得出来ないままライブに至り、心ここにあらずだったのかもしれない。
アーティストが曲の最後を歌わず、曲が終わると同時に観客を放り出し、まったく事情が掴めないままの何千人もの観客の長い沈黙が暗闇の中で続くという、これはこれでかなり奇跡的なことをしてしまったのだ。
その後アンコールの手拍子が一人の勇者より始まったが、私はねえやんにとってプレッシャーになるかと思い、そっとしておきたいという気持ちで、これには参加できなかった。
やがて、もっさんとともに現れたねえやん。
ねえやんは、ステージ上で、口を押さえたまま、あたたかい拍手で迎える観客席をじっとみつめたあと、言葉を発することなく、何度も頭を深ぶかと下げて謝った。
だが、このアンコールも、「地平線まで」を途中まで歌い、再び泣き、歌詞が出ず、また頭を下げ、ごめんなさいをしてそのままステージを去ってしまった。
「もう歌わなくていいんだよ。」 私は心の中でねえやんにそう呼びかけていた。
ライブでは、ねえやんには、強さよりも、弱さを見せてほしいとさえ思っている。
だから、歌えないのなら、歌わなくていい。
もっと私たちに弱さを素直に語ってほしかった。
ねえやんの声をただ聞きたかった。
これまでのねえやんは、弱さをさらけ出していたから共感できた。
今は無理に強くあろうとしていて、それに耐えられなくなっているような気がする。
いろんなものを背負って、抱え込んで、
泣いて歌えなくなって、さよならしてしまうより、
泣いて語って、一緒に泣こうよ。
ファンは、ねえやんとの距離を縮めたいと思ってライブに来ているのだから。
人生は山あり谷あり。 楽あれば苦あり。
喜びも悲しみも順番にやってくる。
ただ、今回はあまりにも目まぐるしくやってきたために、受け止めきれなくて、とりこぼしたんだよ。
大阪の会場に次回参加される方は、今回のことで心配されているでしょうが、たぶん大阪ではちゃんと復活するのではないでしょうか。
根拠はありませんが、気持ちの切り替えは早い人だと思います。
なによりも心配なのが、これでしばらくライブをしなくなってしまうのではないかということ。
つまり、本人の意思とは別のところでストップがかかりやしないかと。
でも、それも杞憂かもしれない。
先ほど、公式サイトで2012年のアコースティックツアーが決定したことが発表されたから。
それに、今日のライブ、私的に良いことがあった。
まず、ステージに向かってど真ん中の席であり、広いフォーラムAの席としてはかなり前の方だったので、もちろん気のせいだけれど、真正面にいるねえやんと何度が目が合った (笑) 目が合ったと思うとなんか笑顔のまま固まっちゃうね (笑)
それに、ヤングさんにTwitterで私がリクエストした「のうぜんかつら (リプライズじゃない方)」が演目に入ったのだ。 ずっと、待ちわびていた「無印のうぜんかつら」。 私は今日、これだけで十分満足。
ありがとう、ねえやん、ヤングさん!
新曲もよかった。 曲名はわからないけど、どこか沖縄チックな曲でした。
セットリスト 曲目 (間違いあったらごめんなさい)
- 輝かしき日々
- 勘違い
- エルロイ
- み空
- のうぜんかつら (リプライズじゃない方)
- すずむし
- あなたと私にできる事
- アフリカの夜
- 松田の子守唄
- Lost child,
- 新曲
- HAPPY BIRTHDAY TO YOU ( to 今日お誕生日の方)
- お誕生日の夜に
- それから
- The Still Steel Down
- 永すぎた日向で
- 飛翔
- 地平線まで
ツアーグッズのピアス、イヤリングは開場と同時に売り切れのお知らせコールがありました。
150セット限定だというから、開演前の先行販売時で完売となったもよう。
でも、おそらく、大阪公演分は別に確保してあるのではないかと思いますが、どうなんでしょう。

ステンドグラスキーホルダー “UCAD” の文字が隠れているの、わかります?
2012年4月30日 23:46|
カテゴリー:2. ライブ|
コメント
(9)
こんばんは。
いつも楽しく読ませてもらっています。
Lost Child,のあとに「それから」があったと思います。
私は、もっさん側にいたのですが、
地平線までのときは、舞台左袖に関係者(Andy?)が、
ずっと正座して心配そうに見守っているのが印象的でした。
終わった後、彼女の背中をさすりながらよくやったという感じで奥に消えていったところを見て、何となく安心しました。
一曲目の「出来」はさすがに心配しましたが、
泣いて歌えなくなることは2010年の時もあったし、
去年のつくばでもアンコール無しでごめんなさいと、途中で切り上げているのでそれほど気にしていません。
ただ、今日の終わりでざわめきが起きたのも事実ですけど。秋からのツアーも楽しみにしています。
2012年5月1日 01:50 |
M
Mさん、コメントありがとうございます。
曲目修正しました。 ご指摘ありがとうございます。
そうですね、私にも見えました。
アンディさんらしき方が最後、背中(肩?)を抱くようにして舞台袖を行く姿は私にも印象的でした。
泣いたり、歌えなくなることは、たしかにいつものこと(笑)かもしれませんが、
さよならの挨拶も無く、手を振ることもなく走って去られたので戸惑いました。
あのまま引っ込んだきり、出てこないのではないかと思っていたので、
ちゃんとアンコールに応えて出てきてくれたときには、ほっとしました。
アコースティックライブツアー、期待しています。
2012年5月1日 02:17 |
管理人トロル
おはようございます。
「それから」の順序ですが、
ひょっとしたら、もう少し後だったかもしれません。。
申し訳ないです。
2012年5月1日 07:50 |
M
はじめまして。裕子さんが、最後に歌ってくれた、地平線まで。声にならない想いが込められていたと思うんです。一生懸命。上手い下手より、一生懸命さが一番大切ですよね?だから、昨日のライブはあれで良かったんだと思います。レコード大賞で泣きながら歌うのとは、わけが違いますから。
必死な一生懸命が伝わるライブは、なかなかないです。だから、昨日のライブはとても良いライブだったとおもうんですよね?
2012年5月1日 10:20 |
カナン
はじめまして。
昨日はどうやら、「飛翔」の次に「鬼」で本編終わり、アンコールで「地平線まで」→「歩く」の予定だったようです。
アンコールはお祖母さまのための曲だったのではないでしょうか。聴きたかったです。
大阪公演も行く予定なのでいろいろな意味で心配ですが、ねえやんにはどうか歌うことから逃げないで頑張ってほしいです。
もちろん弱さも彼女の魅力ではありますが、今回のことをちゃんと自分で克服しないとこの先続けることは難しいと思います。
2012年5月1日 12:40 |
moco
はじめまして。
渋谷クアトロ以来8年間あんどうゆうこライブ通ってきましたが昨夜は、さすがにびっくりしました。
5/5も同じ状況になってしまうんじゃないかと思います。
でも、そこは大阪です。「こらっ、ねえやん、なにしとんねん。頑張りや~」 突っ込んでもらってカムバックするんじゃないでしょうか?
いろいろあって、暫くぶりで、新曲、大ホール、東京、バンドライブは、ちとハードル高かったかな。
アルバムのチャレンジ度・完成度がすごく高かったので、昨夜のことはやっぱり残念です。今後は、もう少し他人から曲(歌詞)をもらって、ライブでは気楽に歌っていってほしいなあと思います。
2012年5月1日 13:06 |
すぎやん
皆さまコメントありがとうございます。
曲目に間違いがあったようで、現在のもので、おそらく合っているのではないかと思います。 すみませんでした。
カナンさんのおっしゃる、「声にならない想いが込められていた」というのは、確かにそうだなって思います。
完成された音源としてのCDでは満たされない、その想いを感じるためにもライブに足を運んでいるのかもしれませんね。
mocoさん、情報ありがとうございます。
「飛翔」の次に「鬼」で本編終わり、アンコールで「地平線まで」→「歩く」の予定
とても興味深いです。
「今回のことをちゃんと自分で克服しないとこの先続けることは難しい」
そうなんです、私が危惧しているのは、正にこれなんです。
どんな状況であれ、私は安藤裕子を支持し続けることに変わりはありませんが、
やはり、れっきとしたプロのアーティストでありますので、
もし、世間一般の評価が下がるようなことがあったとすれば、
それは、安藤裕子の今後の活動に一定の制限というか、
悪影響が出てしまうことは避けられないのではないかと、そればかりが心配なのです。
なによりも、ねえやん自身がこのまま自信喪失してしまうことが心配です。
また、すぎやんさんがおっしゃるように、
暫くぶりのライブが、いきなりの大ホールでのバンドライブというのは、かなりのプレッシャーだったと思います。
いろんな事情があったのだとは思いますが、やはり言い訳は出来ません。
ねえやん自身ももちろんわかっていらっしゃることでしょうが、優しく温かいファンに甘えてばかりではいけないのです。
プロのアーティストであることを、自身の中で再確認していただきたいというのは、
これからの安藤裕子に期待するファンの一人として、願いでもあります。
出来ないのであれば、出来るようになるまで次の約束はしてはならないと思います。
(次のアコライブは期待しているのですが、正直不安でもあります。)
2012年5月1日 20:49 |
管理人トロル
こんばんは。
やはり昨日のライブは、誰しも思い当たるところがあるみたいですね。
僕もトロルさん同様、アンコールの拍手には参加できませんでした。
“鬼”が本編の最後だとなんとなく確信していたので、あれ、おかしいなと。
心残りはなくはないですが、
“The Still Steel Down”を聴けたのが何より嬉しかった。
泣くような曲じゃないかもしれないけど、
イントロから最後〝気付いて〝と連呼するところまで、ずっと泣きっぱなしでした。
トラブルはあったものの、
圧巻、といえるステージであったことに変わりはないのかなと思います。
あの後どうなってしまったのか心配ですが、
大阪でも、秋のアコースティックツアーでも、
自信を持って歌ってくれることを願って止みません。
2012年5月1日 23:37 |
hbk
hbkさん、コメントありがとうございます。
“The Still Steel Down” よかったですよね。
私もこの曲は本当に名曲だと思っています。
人を泣かせる力のある曲を生み出せるアーティストが、
今の日本にどれだけの数いるでしょうか?
まして、POPSの世界には?
私たちファンは、いつのまにか欲張りになっていたのかもしれませんね。
ねえやんに対する期待が膨らめば膨らむほどプレッシャーは強くなってしまうもの。
気にするなというのは無理でも、
少しでも気持ちを楽にしてマイペースを取り戻してもらえること、それが一番だと思います。
2012年5月1日 23:53 |
管理人トロル
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