Nuugy ヌージィ 2013 SPRING VOL.008
安藤裕子が表紙と巻頭グラビアを飾った『Nuugy ヌージィ SPRING 2013 VOL.008』を入手しました。
写真も素敵ですが、何よりも4ページにわたるインタビューは、量だけでなく内容的にもボリューム満点でした。
ここで少し掻い摘んでご紹介したいと思います。
このところ、すっかり大人の色香をただよわせている安藤裕子ねえやん。
(年齢を考えれば当たり前なんですけどね)
巻頭グラビアの衣装は、暖色と寒色でそれぞれコーディネートしており、前回の白と黒のモノトーンイメージの写真が多かったのとは違い、春らしい季節感が出ています。
「春の心音」と題した安藤裕子へのインタビューは、今の安藤裕子の心情や状況を知るのにファン的にはかなりディープでマニアックなものになっています。 当然全部はとてもご紹介出来ませんので、ここでは一部だけをピックアップします。
ディープでマニアックな内容はぜひ本誌を手に取ってご覧下さい。
- 音楽を最初に生み出すアカペラ録音の際 -
「言葉って、言葉の持つ音がありますよね。『あ』とか『さ』とか『か』とか『こ』とか。 言葉の持つ音階もふくめてのメロディなので。 フレーズに言葉がついた状態で出てきます。 で、そこにしっくりくる音探し、という感じで増やしていくというか」
なるほど、出てくる言葉に意味がないとしても、ねえやんの口から風音のように生まれる「音」のためには必要な言葉なのですね。
- 妊娠前の心身の状況について -
「子供ができる以前から、体力的にも精神的にも限界がきていて。 『勘違い』をつくりはじめる前くらいには、もうここまできてるから1回歌うのはやめようと思ってました。 その頃にできたのが『永すぎた日向で』という曲です。 それはもう、これを唄ったらようやく終えられるなと。 そういう、自分には音楽的にあまり未来が見えないような状況の中でアルバムをつくりはじめたんです」
ただ聴いているだけの私なんかには、到底理解できない領域での苦しみをひとり抱えて音楽と向き合っているんだなぁ…
- 現在制作中のアルバムの音楽性について -
「いま制作に入っているアルバムが、なんだかよくわからないけど暗いんです(笑)。 私、基本暗い音楽は聴かないのに。 自分が作ってる音楽のほうは暗いものが出てきちゃって、暗いなあ、こりゃいけないなあって。 なんかポップな曲を作らなきゃいけないね?って最近思っているところです」
~中略~
「たぶん以前は『人にウケなきゃいけない』とか『他人に理解されなきゃいけない』という気張りがあったのかな。 ”売れたいっ” みたいな(笑)。 そういうところで、もっとポップスを作らなきゃと頑張ってたんですけど、自分の中でそのあたりのラインがあやふやになっていて。 だったら今は、自分の中から出てくることを形にすればいいかっていう気持ちが混ざっちゃているのかもしれない。 でもこのままじゃちょっとさすがに暗すぎるな、とは思ってます」
~中略~
「でも確かに、音楽をやりはじめた頃は、曲が暗かったんですよ。 それは他人に聴かれるっていう前提で作ってなかったからなのかなと思うんですけど。 そこに自分が戻りつつあるのかも。 ちょうど、20才ぐらいに作りはじめて15年ぐらい、作って歌うっていうことをやっているのだけど。 これで1周してきているような気もします」
暗いのかぁー 今ねえやんから生まれてくる曲が暗いというのは分からないこともないけれど、聴く方の私の個人的な希望としては、もうちょっと明るいのが聴きたいなぁ。
暗さやせつなさを背後に滲ませながらも、それを表向き明るいポップスに仕上げるところまで持っていくことが出来れば… 簡単なことではないでしょうけど。
ねえやんに襲い掛かった大きな喪失感によりもたらされているのでしょうか。 震災後に最愛の祖母を亡くしたことについては、すべてをなげやりにしてしまう程、ねえやんには相当なダメージだったとのこと。
でも、1周してきたってことは、今よりさらにその先で、ファーストアルバム『Middle Tempo Magic』のような音楽性が戻ってくるかもという期待を持てるってことかな?
- ファッションの好みの変化について -
「すごく変わりましたよ。 いかに汚れてもいい服か、しゃがめたり、腕を伸ばせたり、そういうことのほうが大事になりました。 そう言われてみれば、自分のために服を買いに行ってないですね。 子供の服はネットとかで日々買っているのに。 メイクも日焼けはしたくないな、と思うくらいであまりしないし。 今日、撮影でプロのメイクさんにメイクしてもらって、こういうの久々だなってしみじみ思いました」
いくらマイペースな人とはいえ、こんなことをファッション系の雑誌の巻頭インタビューでさらっと言っちゃうのはどうかなぁ~(笑) 「お母さん」すぎて、もう……
雑誌のコンセプトが根底から覆りそうなことなのに、カットせず載せたNuugyの編集者さんもナイスです。
- 歌うことへの悩み ・ 心のコンディショニングのために -
「歌うってことが神聖過ぎて重かったし、とてもスペシャルなこと過ぎた。 だからとっても疲れてしまって。 それが、子供ができて少しずつ気にならなくなってきたというか。 昔、りんけんバンドの照屋林賢さんにお会いした時に、私が『あまりにも歌うってことが怖いし、緊張してしまう』って言ったら、『もっと音楽を日常にしなさいよ』って話をされて。」
~中略~
「なるべく1~2週間に1回、バレエに行ったりしていて。 行くとどんより詰まっていたものが流れる感じはあります。 ただライブに向けて、心をどうもっていったらいいのかについては、この夏本当に悩んで。 もう歌うのが怖いと思っていた中で。 スキマスイッチの大橋くんとか、スピッツのマサムネさんとかにも相談したんです。 そうしたら諸先輩のみなさんも『今でもやっぱり怖い』と。 みんなそうなんだな、って思ったらなんとかそこに照準合わせて、どうにか持っていくというのが大事なんだなあと。 歌うって、とても楽しいことだけど、苦しいことと紙一重で。 まあ、仕方がないところなんだなと思います」
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この他、祖母の死についてや、子供のことについてとか、体調のこととか、今度のライブやDVDのこととか、いろいろ詳しく載っています。 特に音楽作りのところは圧倒される内容で、マニアックでとても紹介しきれる内容ではないのでここで触れることはあきらめます。 とても興味深い内容でした。
この雑誌を読むときは、アルバム『勘違い』をBGMにすることをおすすめします。
さすがにあのコピーはちょっと攻撃的すぎたみたいで、変更されていました。