Premium Acoustic Live “聖者の行進” @ EX THEATER ROPPONGI

前月にオープンしたばかりの EX THEATER ROPPONGI にて開催された、「安藤裕子 Premium Acoustic Live “聖者の行進”」(12月19日)に行ってきました。 昨年の「秋の大演奏会」に引き続き「一夜限り」の特別なライブ。

EX THEATER ROPPONGI
なぜか雨降る2階の屋上庭園から入場。 後ろにそびえるのは六本木ヒルズ森タワー

この EX THEATER ROPPONGI は、地上2階から地下3階の建物で、地下3階部分が全部ホールで移動はエスカレーター。 1階の観客席に移動するのにエスカレーターで地下3階にいくなんて初めての経験です。 斬新なつくりとデザイン、おしゃれなドリンクバーやカフェもあって、六本木らしいカッコいいところでした。

ステージ上でもっさんが弾いているわけでもないのに、ピアノがメインのなんとなくクリスマスソングっぽい音楽が鳴る中でのメンバー全員のオープニング入場。 前回の渋谷ライブをちょっぴり彷彿させます。

安藤裕子ねえやんの衣装は、腰ひも付きの真っ赤なドレスで、その右胸にはキラキラの飾り、それに黒いタイツ。 このシックで大人の赤の衣装は、この2月にBunkamuraオーチャードホールでおこなわれた、「Billboard Classics 安藤裕子×西本智実スペシャルプレミア・シンフォニック・コンサート」のときに着用していた衣装に似ていました。(もしくは同じもの?)

今回は、レビュー完成前に公式サイトから終演後のセトリが発表されたので、いつもより楽ちんで安心確実。

クリスマス前のプレミアムなアコースティックライブの一曲目は、唯一?の安藤裕子のクリスマスソングともいえるこの曲からでした。

Dreams in the dark
今回、ただのアコースティックライブではなく、バイオリンとチェロが加わった、まさにプレミアム仕様。
伸びやかなねえやんの歌声と弦の組み合わせが冬の街の空を彷彿させます。

ようこそここへ
力強いピアノの前奏が、オリジナル音源やバンドライブと違った趣があっていいですね。
伴奏楽器がシンプルな分だけ、よりねえやんの歌声が迫ってくるように感じました。

あなたと私にできる事
この日のねえやんの声はかつてないほどに力強く、かつ丁寧で安定していました。
そして、これまでとくにアコースティックライブにおいて、伴奏楽器のアレンジについては年々進化と変化をしてきましたが、今回特に感じたのが、安藤裕子自身の歌声そのものに違ったアレンジを加えてきたという印象があります。 あらためて新鮮な気持ちでねえやんの歌声を聴くことができました。
ますます進化している感じ。 ほんと上手くなったなぁ… (なぜか上から目線)

MC
新しい”はこ”ということで、ホールの感想を話したり、観客に聞いてみたり。
「二階の階段が急だという噂があるんだけど、立つと怖いとか… 怖いですか?」
「こわいです!」暗闇の二階席から元気な男性の声(笑)
あと、ねえやん、雪が苦手だということが発覚。 苦手ってなんだ?

健忘症~Last Christmas(WHAM!)
健忘症の間奏に入るねえやんの朗読が終わると、なんと『Last Christmas』に曲が変化。 というか混ざり合う感じになりました。 意外な曲の組み合わせのようですが、そういえばテンポや伸ばして歌う感じとかが似ています。

み空
これまでライブで聴いてきた中で一番いいと感じた「み空」でした。 幼い子供のような声から、怖いぐらいの力強い歌声への変化、またその逆も。 とにかく変化の幅がすごい。


アコースティックライブでの『鬼』っていいですね。 安藤裕子の歌声に集中出来て。 かなり歌い方にアレンジを入れていましたが、それが良かった。 後半には座って歌っていたねえやんが立ち上がって体を揺らして歌いました。 この曲も今までで最高の出来でした。 場内拍手喝采。

MC
しっとりやろうとしてたけど、椅子のハマりが悪くて立っちゃったとか。
ここで再び弦登場。 クリスマスっぽいことをやろうと思ったけど、なかなか無いからと、2日後の12月21日に同会場で開催される「細野晴臣×坂本龍一」があることと関連付けてということらしく、「ウチの”助教授”が敬意を表して」と、山本もっさんの憧れの坂本龍一(教授)にちなんで、次の曲となったようです。
「ウチの助教授、今日、なんか金田一耕助みたいな帽子かぶってるんですけど」(笑)

Forbidden Colours(Sylvian & Sakamoto)
『戦場のメリークリスマス』のメロディーをピアノで弾き出す助教授もっさん。 それに弦が被さる。
そこにさらにねえやんが伸びやかで美しい歌声を被せていく。
鳥肌ものでした… これはなんとか音源化してもらいたいな。

同じく六本木であった教授のライブに今年の5月に行って「戦メリ」の生演奏を聴きましたが、この「もっさん & ねえやん」バージョンは、ピアノ演奏そのものは敵わないものの、総合的な感動のレベルは上回っていたかもしれません。 (これはひいき目?)


この↑動画よりも楽器がシンプルに構成されていた分、より教授が普段弾いている「戦メリ」に近い感じ。

勘違い
張りつめたような高音のねえやんの歌声とバイオリンが共振するかのようで、オリジナル音源とは少し趣が異なっていて、むしろこっちの方が好きな感じでした。

いらいらいらい
明るい感じのバイオリンの前奏では、何の曲が始まったのかちょっとわかりませんでした。
まったくオリジナル音源とは印象の違う、芸術的な『いらいらいらい』でした(笑)
前曲同様、歌声の伸びと弦の共演が素晴らしかった。

MC
「聖者の行進」という言葉については、「勇ましく立ち上がる」という印象があるという。
「いい時代に生まれたなぁー」と思うと。 でも、この時代も終わりの足音が聞こえてきた気がする。 でも時代が変わっても自分の周りのいい人たちがいればやっていけると。

蒔かれた種について
ねえやんのたどたどしくも意味深なMCを聴いてからこの曲を聴くと、なんだかいろいろ考えさせられる曲だなとあらためて思いました。 また、安藤裕子は歌の中ではとても雄弁なんだなぁ、とも。

「ややこしい事柄は理解らないけれど、ウソくさいにおいが全てにする… 生ぬるい生き方さよなら告げて、心に罪の輪をかけてみよう。虫のいい話を信じるのは弱さなのです… 半径1m世界は見えず… もしこの心に神様がいるのなら甘えた私を今突き動かして…」

歌詞がなにやらひしひしと…

忘れものの森
いつも以上に可愛らしくやさしい歌い方が、まるで自身の幼い子どもに歌い聴かせているかのようでした。 安藤裕子の童話の世界。
ボーカルとは、豊かな感情を伴った美しい楽器なのだとあらためて思いました。

Aloha ‘Oe アロハオエ
最高に弦が光る名曲。 せつないピアノ、ハワイアンな情感たっぷりのエレキギターが心を揺らします。

The Still Steel Down
安藤裕子不朽の名曲。 
とくに終盤の「気づいてよ」の魂の飛翔感とでも言うのでしょうか、いつも以上に情感あふれ、ステージに立ち歌う姿は神がかっていました。
いよいよライブ終盤に近づいてきたと思ってきたところで、この曲は沁みます。

聖者の行進
バンドライブであれば、前奏は激しいドラムが印象的ですが、ここではピアノが感傷的にぽつりぽつりと鳴る感じで、この感じもまたいいですね。
繊細で弱々しく歌う前半から、後半に向けてだんだん力強く伸びやかになっていく様は圧倒的なカタルシス。
これはまさに安藤裕子の人生そのものの姿に重なります。
アウトロのバイオリンとアコースティックギターの共演がこれまでに聴いたことのないもので印象的でした。
セットリストの正規プログラムの最後を飾るのはやはりこの曲でしょう。

~~~ アンコール ~~~

MC
もっさんコールした人に「もっさんが好きなの?」というねえやん。 でも、もっさんはピアノに向かったままとくに反応なし。
ねえやん「思いは届かないね」(笑)

前回のツアーから販売しているグッズ紹介の途中、ふいに「このさぁ、舞台から見た感じの座席感が不思議な感じする」と独り言のように言ったかと思うと、間を置いたり、客の反応を待つこともなく「それで…」と、何事も無かったようにグッズ紹介の続きを再開するものだから会場爆笑。
「話にオチがないと言われる」と、何年か前のライブのMCでも語っていましたが、なるほど実感(笑)

あと、「ぶら下がった」が「ふら下がった」だったり、「間に合わずに」が「まちに合わずに」、「お買い求めください」が「おはい求めください」となってしまうものの、自分の滑舌の悪さに既にあきらめがあるのか、全く気にするそぶりも、訂正することもなくマイペースに話していたりします。 こういうところは歌声とは違って一向に成長していなくて「らしくて」いい!(笑) 流暢に話す安藤裕子より絶対こっちの方が安心します。 まあ、気合を入れて歌った直後だから、気が抜けたようになってしまったというのもあるのでしょうけどね。

そして、2014年春にアコースティックツアー開催のお知らせ。

先ほどの「時代の移り変わり」についての話の続きをはじめる。
自分は生まれてからずっと何事も頑張ったことがないという。
 「なんでこんなに頑張れないんだろう」というのが悩みになるぐらい頑張ってこなかった。 でも、それは自分が幸せだったからなんだろうと最近思うようになった。 いい時代に生まれて、いい人間の下に育ち、いい友達に恵まれ、何にも頑張らずに楽しく生きてこれたと。
でも今、時代の移り変わりのようなものを感じている。 地球の環境も変わり、戦争の足音も遠くない、災害は今も続いている。 未来が見えにくく、どうにもならない世の中になったと思うことがある。
だから頑張ろうって。 でも、頑張っていれば夢は叶うなんてよく言われるけどそれは無いなと思う。 叶わないものは叶わない、限られたチャンスの中で叶う人がいる一方で叶わない人も大勢いる。 だから夢なんて叶わなくてもいい、夢を見ることこそが大事なんじゃないかと最近はそう思うと。
次に歌う曲は、そんな頑張らない人間による、頑張る人を応援する曲だという。

未発表新曲
ピアノの最初の一音以外、イントロも無く、いきなりの力強い叫びに近い「走り廻る僕のままで!」というねえやんの歌声から始まるこの曲は、驚くようなインパクトで、「ウォ~~~!」と雄叫びが轟いたかと思うと、その後にやさしく「愛してます」とささやくように伝える。 そんなフレーズが交互に繰り返される。
これがヤングさんがFacebookで語っていた「ものすっごい新曲」ですね。 本当にものすっごい曲でした。

MC
最後に全員揃っての演奏となるため、あらためてメンバー紹介。
もっさんが呼ばれたとき、なぜかピアノの前に座ったままニコリともせず、観客席に向かって片手をウォンウォンと変な動きで振るもっさんの姿に会場は大ウケ。
でも、一番ウケていたのがねえやんで、「なぜ、そんなことした?」と信じられないというぐらいの驚きを見せ、その後も若干のこみ上げる笑いと動揺を隠せないままMCを進行させていました。
たぶん、もっさんはさっきの「思いが届かなかった」ことについての贖罪の気持ちからあんな変な動きをしたのではないかと私は思いましたが…(笑)

A HAPPY NEW YEAR(松任谷由実)
聴き慣れない感じだったので新曲かと思いきや、松任谷由実の『A HAPPY NEW YEAR』でした。
記念すべき安藤裕子の今年ももうすぐ終わり、新年をおだやかに迎えるにあたって最高の選曲でした。


(ウリナリ懐かしいなぁ~)

今年もたっぷり心のビタミンもらいました。
安藤裕子デビュー10周年記念の最後を飾る、完璧に素晴らしいライブでした。

EX THEATER ROPPONGI

コメント

長らく御無沙汰しました。
このEXのライブ、行きたかった〜。仕事漬けで、どんな予定変更があるか分からなかったのでエントリーもしませんでした。残念の極み! 実際行けなくなってしまいましたから、仕方なかった。
でも、トロルさんのコメントがあるから安心です。
ありがとうございます。

2014年1月20日 01:14 |  kinta

kintaさん、お久しぶりです。 コメントありがとうございます。

平日の比較的早めの時間スタートだったので、関東地方にお住いの方でもスケジュール的に厳しかった方も多くいらしたと思います。 実際、途中入場の方も多かったです。

参加出来なかった方にも、音楽自体は届けられませんが、ねえやんの今を伝えることが出来ればと思ってます。
これからもよろしくお願いします。

2014年1月21日 07:43 |  管理人トロル

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