2014 ACOUSTUC LIVE @ 鎌倉芸術館
5月6日に鎌倉芸術館で開催された「安藤裕子 2014 ACOUSTUC LIVE」に行ってきました。
エジーさん、こんなところで裸でサックス吹いてると風邪ひきますよ
安藤裕子ライブパネル展裏側を下から見上げる
それでは、セットリストを兼ねた簡単なレビューを記します。
今回はかなり良席で、前方のセンターあたりを確保できちゃいました。
近くで見れたねえやんは、白系のゆるワンピの上に赤のトップスをはおり、黒のストッキングに暗めのCYANっぽい色のぺたんこパンプス。 前髪は8:2分けぐらいにして、栗色の後ろ髪を前にやると胸の上まで伸びていました。
今回のギター担当はいつもの山本タカシくんではなく、タラちゃん(設楽博臣さん)です。
めずらしく、MCから入るねえやん。 ツアーの初日だから緊張をほぐすためらしい。
それによると、これまで担当していたマネジャーは別のアーティストのマネジャーとなるそうで、実際名前は出していませんでしたがおそらくヤングさんじゃないかと思います。 そしてやはり新人マネジャーさん(デラさん)が安藤裕子専属となったようです。
これまで、ねえやんの一番そばにいつもいて支えてきたひとがいなくなってねえやんも寂しくなるようです。
鐘が鳴って 門を抜けたなら
冒頭のMCを受けてのこの選曲は、さよならしたマネジャーさんに捧げている面もあるみたいでしたね。 切ない歌詞が沁みます。
「たまには帰っておいで、たまには笑顔を見せにおいで♪」
のうぜんかつら
私の大好きなアップテンポな「のうぜんかつら」。 観客の手拍子の入るこの陽気な感じが、涙を隠しているピエロっぽい安藤裕子らしさが感じられて、ストレート表現のリプライズバージョンよりも好きかも。
タラちゃんのギターがタカシくんとはまた違った意外な味のあるイントロがいいですね。
ポンキ
陽気で長い間奏中になんとねえやんが手品をし始めちゃいましたよ(笑) 赤いハンカチの中から赤いバラを出しました。 それを最前列ど真ん中の女性に手渡そうと手を伸ばすねえやん。 女性が立ち上がりそれを受け取ろうとするけど、意地悪なねえやんは手渡す直前に引っ込めて舞台後ろに投げちゃいました。 曲が終了すると一応「あげる振りしてごめんなさいね」って謝ってましたけど。
MC
実際には鎌倉から来た人があまりいなかったり、ここ大船は鎌倉かと確認したり、逗子は何市かと尋ねたり、芸術館がわりと観光地鎌倉から離れていたなんてオチがあったり。
今、新曲をいろいろつくっており、アレンジもまだ固まってなかったりするけど披露すると。
新曲1
「陽のかげる丘」 に少し似たピアノ伴奏のやさしい曲。
「あ~もえてもえてもえてもえてもえてもえてよ~♪」
郷愁感たっぷりに、だんだんせつなく力強い曲調に変化して盛り上がっていく頃にはうっすら涙が浮かびました。
新曲2
昭和のアングラ芸術といった風情のこれまでにない前衛的曲調。 リズミカルなピアノと退廃的なエレキの音色が痺れる。 イメージを例えるなら、今ちょうど放送中のNHKの連続土曜ドラマ「ロング・グッドバイ」のようなハードボイルド的世界観で舞台に立ち歌う妖しい歌姫といったところか。
み空
ねえやんの歌声もMAXに伸びやかに歌い上げます。 ねえやんのお母さまに「あんたに一番近いね」と称されもした、リクエスト曲としてファンからの人気も高い曲。
エルロイ
前曲「み空」のアウトロをそのままイントロに引き継ぎ、神秘的かつ激しい錯綜感を演出。 激しく色っぽいねえやんの歌声に魅せられる。
MC
ねえやんの少女時代に父親の車の中でいつも流れていたアルバムがあって、メインボーカルじゃない人のボーカルの曲で、メインの人よりこっちの人の方の声が好きで、子どもながらに一生分の恋を失ったような思いになったそうです。
松田の子守唄
安藤裕子のカバーアルバムにも入ったサザンの名曲。 ボーカルは桑田さんじゃないけど、このせつない歌詞と曲は桑田さんならではなんだけどね。 でも、たしかにこの曲は松田弘さんだからこそ光る曲ですよね。 松田さんのボーカルをねえやんらしくスローで情感たっぷりになぞり歌い上げました。
Lost child,
もっとも内省的で、自分自身を偽ることなく真正面から対峙した重量級の名曲。 自身の弱さを受け入れつつめざす希望に向かうエンディングに胸が打ち震える。 この曲は歌声がダイレクトに伝わりやすいアコースティックライブこそ相応しい。
MC
リクエストをTwitterなどで事前におこなっていましたと。 「お誕生日の夜に」という曲をやりますが、「リクエストしたのに来てないという人はいますか?」このようにねえやんが訊くもんだから、ちゃんと来ている人は無反応になるしかないじゃないですか(笑)
子どものために作った曲だけど、子どもを産んだからといって子どもへの曲が湧いてくるような人間ではなかったみたいで意識してつくった(意図的に)とのこと。 大人になった時に「えっ、私の曲ないの?」って言われたら困るなと思って。(いやいや、ないでしょ)
お誕生日の夜に
ちょっと高音がつらそうだったけど、あらためてかわいらしくていい曲だなぁと思いました。
安全地帯
さわやかなピアノの前奏が素敵でした。 安藤裕子らしい内省感と解放感のバランスがいい。
歩く
周りの女の子の幾人もが泣いていました。 この曲には魂の浄化作用があるのかもしれません。
身近な生と死を見送る者の立場から歌ったこの名曲は、もっとも普遍的で根源的なテーマだからこそ、多くの魂を揺さぶるのでしょうね。
MC
歌う理由をときどき考えると。 自分の歌声も好きじゃないし、バカだから他人の気持ちも苦しみもわからない。 誰かが誰かを理解するなんてことは絶対無理だと思っている。 昔、おばあちゃんが「人は孤独だ、ひとりで生まれてひとりで死んでいくんだ」と、外ではとても人気のある人なのに、家に帰ってくるとそんなことを言っていた。 でも他人の気持ちがわからないからこそ近づきたいなと思っていて、生まれ出てくる歌や音とかによって偶然にも誰かが明日を迎えられるというのならそれはすごくラッキーなことで、もしそれが一人でも二人でもいるのならやっぱり歌いたいなと思うと。
世界をかえるつもりはない
安藤裕子の現在進行形の魂の叫びそのものがこの曲だろうと思います。 この日一番に力強く伸びやかに歌っているような気がしました。
サイハテ
いよいよこの日のライブのピーク到来。 もっさんが激しく叩き付けるように弾くピアノと、タラちゃんが狂ったように掻き鳴らすギターとの交差の中に飛び込むように、最後ねえやんの叫ぶような歌声のダイナミックさに圧倒されました。
~~ 以下アンコール演目 ~~
MC
ねえやんの宿題、バナナの叩き売りの時間。(歌う雑貨屋さん)
グッズのTシャツやYシャツにあるゴリラは、明るめの新曲(未発表)の歌詞中に出てくるらしいです。
グッド・バイ
伸びやかに通る歌声にゆったりとした心地になり、目を閉じて聴くと大海が広がっているように思えました。
問うてる
定番のラストソング。 タラちゃんの「ら~ら~ら~ら~」をきっかけにオーディエンスも合唱。
ねえやんカズーの演奏がまるでジャズサックス演奏のようでカッコよかった(笑)
懐かしい感じの味の UCHARY CANDY