Premium Live ~恵比寿の特別な夜~
2014/10/13 「安藤裕子 Premium Live ~恵比寿の特別な夜~」 1ヵ月半も前のライブで今さらですが、メモを頼りにさらっと簡単にレビュー。
ガーデンホールのおとなりにある、シャトーレストラン「ジョエル・ロブション」。
恵比寿ザ・ガーデンホールで安藤裕子のライブが行われるのは初めてです。 こんど(2014年12月23日)に行われる、凛として時雨のTKさんとの2マンアコースティックイベント「December’s Calling」でも、今回のライブと同じく YEBISU GARDEN PLACE 20th Anniversary Live の一環として、同ホールが使用されることになっています。
安藤裕子登場。
黒いジャケットの左胸にはキラキラした大きな飾り。 象牙色と亜麻色の中間色のような衣装のスカート部はレース生地のふわっとしたもの。 その下にも同色の八分丈パンツ。 足元は前日のザンジバルナイトのものよりはトップラインの浅めの黒のキラキラ付きの靴。
ようこそここへ
イントロ演奏陣が揃わず失敗、ねえやん口笛吹いてやり直し。(吹けるようになったのね)
MC
台風目前の恵比須、みんなの帰りの電車のことを考えて巻きでやって終わろうと思ってるとのこと。
「BPMを5ぐらい全部リハより速めにやっていこうかと思うけど…」 (大丈夫かいな)
試しにということでドラムがビートを刻み、観客の手拍子も添えられ、そのまま曲に突入。
水色の調べ
弦も参加していていい感じ。
それから
ギターとピアニカ(記憶が正しければ)で最初はしっとりと始まり、やがてドラムとピアノが加わり、ねえやんの声も力強く変化。
お祭り -フェンスと唄おう-
むずかしいこと抜きでなんとも陽気で可愛らしい、おもちゃのチンパンが鳴らすシンバルが似合いそうな童謡的ソング。
MC
映画『ぶどうのなみだ』で共演した、「口から生まれたような人」こと大泉洋さんと共に舞台挨拶をやっていると、最近は自分が舞台上でしゃべるのが上手くなったような気がするとのこと。(それはたぶん錯覚ですね)
レガート
今年の夏フェスとその連動企画ですっかりおなじみとなりました。
MC
踏み外すことなく順風満帆に生きてきた自分。 でも、自分の命を十分に燃やせているのかな?と日々思うところがあると。
次の曲はそんな曲。
新曲
アコギ伴奏のみでポツリポツリと感傷的に歌った曲。 印象的な歌詞を一部抜粋。
「愛と恋は違うのでしょうか?」
「愛は愛で温めたい、恋は恋でキラキラと」
「ただ一度の命だと、あの人の声がする」
「忘れてはいないのよ、ただ少し眠いだけ」
たぶん、幸せな日常の中でふと不安に陥った時の、心のさざ波を歌ったものだと思います。
パラレル
ヴァイオリンのCHICAさんと、チェロの笠原あやのさん、ドラムのASA-CHANGの再登場。
この曲、シングルリリースの時からずいぶん時間が経ちましたが、時間が経てば経つほど耳に馴染んでますます好きになってきました。
ドラムが重要な要素の曲ですが、ASA-CHANGの変わったアレンジもなかなか良かった。
エルロイ
前曲「パラレル」から間をおかずスタートしたのはいいですが、微妙にギターとボーカルがずれているような気がしましたが、これは錯綜感を出すための意図的なアレンジだったのでしょうか?
そうでないとすると、一曲目もそうですが、若干のリハ不足のように思えます。
なんといっても、この日の前日があのザンジバルナイトですからね(笑)
いらいらいらい
さらに連続技で、エレキとドラムでエルロイからこの曲に繋げます。
退廃的で、闇の深淵に反響するようなボーカルがまるで危険を表すサイレンのようです。
MC
早く進行させるとか言うわりに、ちょいちょいMCを挟んでくるねえやん。
前日のザンジバルナイトで小谷美沙子さんと楽屋でずっと話していたとか、舞台上の彼女をとても褒めていました。
次の曲は、ディレクター(アンディー)とPAさんが好きで、いつも候補曲に入れようよと言われてきたのだけれども、ねえやん自身がセットリストを作っていく間にどうもこの曲入らないね、ということでこれまで外してきたけど、今日は実現出来ることになったと。
煙はいつもの席で吐く
たしかにライブではあまりやってくれない曲ですよね。
前回やったのは、なんと6年前の2008年のアコースティックライブ。(私が確認出来る範囲では) 私にとっての安藤裕子初参加ライブでした。 この時に聴いて、CDではとくに関心がなかったのに、この時のライブで聴いたものがあまりに良くて大好きになった曲です。 今回聴いてもやっぱりいいですね、またこういう感じの曲作ってくれないかなぁ。
海原の月
この曲には弦の響きが最高に合います。 そして弦だけではなく、ラテンパーカッションがアウトロに入るのが新しい試みでした。
翳りゆく部屋
突然に荒井由実のカヴァー。
いいですね、安藤裕子は本当に昔のユーミンの名曲とは相性がいいですね。
「輝きは戻らない、私が今死んでも」という歌詞のところでねえやんは歌いながら涙腺が崩れたようでした。
聴いているこちらも引きずられて涙ぐんでしまいました。 「カヴァーアルバム第2弾(未定)」にはぜひこの曲を入れてほしいものです。
先日のスキマスイッチとのラジオの中でも、この曲について語っていましたね。
The Still Steel Down
いつもよりちょっとファルセットが出にくいような感じでした。 でも、伸びやかさとゆらりゆらりと揺れるような曲調で、聴いていて本当に気持ちの良い曲ですねぇ。
歩く
本日のライブのクライマックス。
渾身の力で歌い上げる安藤裕子。 全てのメンバーが奏でるカタルシスのアウトロ。
———— アンコール ————
MC
「年が明けたら、ひろえちゃんの誕生日!」 わかんない人はネットで調べてって言われたけど、なんのことやらよくわかりません。
そして8枚目のアルバムリリースが告知される。
クリスマスの恋人
なんだか正直「?」な感じでした。 Aメロはまだわかるんですが、初鑑賞の耳にはサビのメロディーがわかりにくく、ねえやんの歌声もけたたましいというか、何言ってんのかよくわかんない。 ウキウキする感じのクリスマスソングなんだろうけど、直前のMCでも本人が言っていたように、ケンタッキーフライドチキンのクリスマスって感じはよく伝わりました。
問うてる
恒例のラストソング。 でも、これもイントロで失敗。 やり直し。
観客による「ラーラーラー」の小合唱。 「これじゃ電車無くなっちゃうよ!」とねえやんがはっぱをかける。
やがてなんとか大合唱へ。
———— 終演 ————
今回のライブの一番の収穫は、「翳りゆく部屋」でしたね。
「輝きは戻らない、私が今死んでも」というのは、私にとってもいろいろな意味で考えさせられるフレーズで、今のねえやんがこの曲を選んだ理由もわかるような気がします。
前述したように、11/10のスキマスイッチとのラジオ番組内で、この曲について以下のように語っています。
デビュー前の安藤裕子は、藤井丈司さんという音楽プロデューサーさんにお世話になっていて、その時に「自分の指針を見つけてほしい」と荒井由実さんのCDをもらい、「君は荒井由実になりなさい」と言われた。 当時の安藤裕子は、ユーミンは知っていても荒井由実を知らなかったのだが、その捨て曲ゼロのアルバムに非常に感銘を受けた。 それまで日本の音楽に抱いていた違和感みたいなものが全くなく、彼女の歌はダサさが微塵もなかった。 そしてこの曲「翳りゆく部屋」を聴いたときに羨ましいと思ったという。 「私が今死んでも」と、とてつもなく暗い歌詞で結ばれるのだけれども、安藤裕子はそれまでいちいち自分の感情の行き先を探して、作っては歌いを繰り返してずっと探し物のようなことをしていたのだけれど、こういう曲を作れたら、ようやく止めてもいいかなと思えたような気がしたと。
私が安藤裕子のアルバムを聴いた時の最初の感想が、「ユーミンにどこか似ている」だったので、これで私もようやく腑に落ちました。