3. 本/雑誌
再び安藤裕子が表紙と巻頭グラビアを飾った『Nuugy ヌージィ 2013 SUMMER VOL.009』を入手しました。 これで3度目となります。 また今号から、安藤裕子のこれまでの軌跡を追う連載も始まりました。
『Nuugy 2013 SUMMER』
表紙も巻頭グラビアも、かなり霞んだフィルターを通したような写真で、すべての写真がモヤってます(笑) ちょっとやり過ぎな感も否めない気がしますが、桜の季節だったということで、そんな雰囲気だったのでしょう。
「Follow The Tracks of Yuko」と題した、安藤裕子の軌跡をつづる連載の第一回は、「安藤裕子」を形成した幼少期からデビューまでがインタビュー形式で語られています。
かなりボリュームがあるので、ここではあらすじだけご紹介します。
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小学生の頃はすごい引っ込み思案で、人前でしゃべるとか、大きな声を出すとかしたことがないほどで、休み時間はいつも図書館にこもっていた。 しかし5年生ぐらいに本当に怖い女子グループと仲良くなってからは、近づくことも怖れられる危険人物的存在になっていたと。
歌についての興味はとくになく、音楽の授業でファルセットで歌ったときに気持ちが良くなったという。 小中高と一貫教育の学校にいて、部活は小5から数えて合計7つも転々とするが、歌に関することは学校帰りにカラオケBOXによく遊びに行った程度。 それでも自発的に音楽を聴くこともなく、友達が歌っているのを聴いて覚えたり、父親の影響でサザン、姉の影響でTHE BLUE HEARTSを覚えたぐらい。
高校時代には友達とただ楽しいやんちゃ生活を送っていた。 ファッションデザイナーの中野裕通氏とはその頃からの縁。 (今もライブの衣装でお世話になっている)
将来の展望は、ノストラダムスを信じ切っていたため、20歳までに子どもを産んでお母さんになるのがゴールだと思っていたから進学については考えていなかったが、母親にひどく怒られたため、美大やら映画の学校やらを考えていたが、結局は2科目だけ頑張って入れる文学部に進む。
『水色の調べ』のPVの時の「バブル時代OL」のようなヘアスタイル
大学時代は女子大の空気に馴染めず、再び小学校の3、4年生の頃に戻ったように昼休みには図書室にこもるというパターンに戻る。 ただ、高校時代の友達とはクラブ通いなどの夜遊びもしていた。
就職を考える大学二年生の冬頃には、新聞記者か脚本家のどちらかと考えていたが、脚本家を目指すことに決め行動を起こすがことごとく撃沈。 とりあえず出る側の芸能活動的なことを始める。 あるオーディションでCHARAの曲を歌ったところ特別賞に選ばれ、小説や絵を描いたりするように、歌うことでも人の心を揺らすことができることを知り、「他人の歌で感動できないならば自分でつくろう」と思ったのが音楽の道へ進むきっかけとなった。
オーディションのあったその日から音楽作りをはじめたが、作る曲があまりにダサく、姉に「本当に気持ち悪い」と言われながら夜中に壊れかけたシンセサイザーをいじっているという悪戦苦闘の毎日だった。 (『愛の日』のAメロはこの頃に出来ていたそう)
芸能活動の中で堤幸彦臣と縁があり、三軒茶屋のノア(レンタル音楽スタジオ)で偶然再会したときにデモテープを渡したらそのまま映画『2LDK』のエンディングテーマに『隣人に光が差すとき』が採用される。
『隣人に光が差すとき』の生まれた経緯は、なかなかデビューに至れない中、下北沢のライブハウスのイベントで一緒に歌っていた女の子が先にデビューが決まり、そのお披露目会に呼ばれるが悲しくなり、別のことでもすごくイライラが溜まっている時期で、髪の毛を自分でモンチッチみたいに切り込んだりして、「なんだこのモンチッチみたいな姿で送っているいただけない音楽生活は!」と、そんな思いから生まれた曲だと。
モンチッチヘアが伸びた頃
地道にインディーズとしてライブ活動を続けていく中で、2002年の夏にavexのアンディ(安藤雄司氏)に会う。 好みのCDの持ち合いでは、アンディのはジャケットに外人の顔が並んでいるようなものばかりに対して、自分が持ってきたのは金延幸子のCDだったり。 もっさん(山本隆二氏)と三人でスタジオで曲作りは再び悪戦苦闘となる。
『サリー』の生まれた経緯は、アンディが「会議に出ている間に、カーペンターズみたいな曲をつくっといて」といわれて、「ナインティ セーブンセーブン♪」が浮かび、サビにもともとあった『シャワールーム』を繋げてみたとのこと。
『サリー』は今でも本当に好きな曲。 『黒い車』はギターの弦を単音だけ鳴らして繋げ、もっと邪悪で暗い曲だったのに、「わりと洒落た感じにアレンジされた」。 『summer』は初期の初期に作った曲で大好きな曲。 最初から歌ってても心が揺れるなって思えた。
大学生時代のねえやん 社内プロモーション用写真
アンディやもっさんと会う前は、納得のいかないことに対して、意固地になったり、泣き出したりして散々もめて離れていってしまった人もいたが、そんな時期を経て、少しだけ人間として大人になれてから2人と出会ったから、リスペクトし合いながら3人の音楽が作り出せるようになったという。
デビューミニアルバム『サリー』の発売後、レコード屋さんで自分のCDを視聴している人がレジに持っていくまで後ろからずっと念力を送ったり、親が何十枚も買ってくれたり、ラジオでキャッチフレーズがうまく言えなくてスタジオで泣いたなど、デビューの時の気持ちを語っている。
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貴重なインタビュー、そして当時の貴重な写真や資料もあって最高の内容でした。 上記はあくまであらすじですので、インタビュー内容そのものだけでなく、安藤裕子ねえやんの感情の抑揚も全然伝えられないので、ぜひ買って読んでみることをおすすめします。 ぜったい満足しますよ。
でも、これでまだ全体の1/4の内容なんですよねぇ。 次号も楽しみだ。
■ 『Nuugy 2013 SUMMER』 (Amazonで購入)
2013年5月12日 23:01|
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慶應義塾大学[福田和也研究室]が出版する、映画を中心としたカルチャー雑誌『シネチュウ vol.5 特集 女』に、安藤裕子10周年アニバーサリー・スペシャルインタビューが掲載されています。
「特集 女」、「女が憧れる、女。」として安藤裕子が選ばれたのは大変興味深いところです。
学生さんが編集した雑誌ということでは、以前にも音楽専門学校生によるフリー雑誌『makers core 2010年12月号 (No.6)』がありました。 こだわりをもったクリエイティブ系の学生さん世代からは、安藤裕子は年齢的にちょっとお姉さんで、身近な憧れの存在として映るのでしょうか。
また、学生時代に映画業界に憧れをもっていた安藤裕子には、かつての自分を見るような、かわいい後輩のように思えたのかもしれません。 そのためか、このインタビューでは安藤裕子のプライベートな過去や現在を事細かに語っており、とてもリラックスした雰囲気でインタビューに答えていることが伺われます。
以下、まとめ
[ 学生時代 ]
映画の道に進みたいと思ったけど、何を専攻していいのかが分からなかった。 大学では、女の子の会話や女子大の空気に馴染めず、好きな授業だけを受講する割り切った学生生活をすごしていた。 このまま大学生活を送ると後悔すると思って、実際に映画の現場に携わってみたいと思い、いろいろアクションをおこすが、映画制作の道は厳しいと説得され、出演する側としてエキストラをはじめる。
判明したこと… 安藤裕子は「迷ったら進まないタイプ」
[ 少女とオトナの間を揺れる視点 ]
人間は「三つ子の魂百まで」として、もともとの性質は変わるものではないと。 だから、少女のようでオトナというのは、ただ単に子供っぽいってことで、でも年齢を重ねて大人としての意見もわかるようになるということ。 若い頃は、大人の痛みを理解できず、自分はただ単に傷ついた子供の立場でしか物事を見ることが出来なかった。 子供な部分を出さないように我慢している大人の方が偉いと。
判明したこと… 安藤裕子は、上記見出しのようなことを自分では全く意識していない。
[ 10周年の節目 ]
音楽活動の区切りとして、学生のころから構築していたものが形になったのが『chronicle.』。 これを節目としてベストアルバムを作った。 その後は、迷走のモヤモヤの時代を生きていて、今はふにゃふにゃ~っとしたなかでただ作品を作っている。
判明したこと… 安藤裕子にとって「節目は数ではない」
[ 母親になって ]
『JAPANESE POP』の頃は、体力的にも精神的にも辛くて苦しく、他人から自分が”どうみられているか”を含めての音楽制作だった。 けれど、そういう時のほうが作る曲が明るい。 母親になってからの音楽への向き合い方は割といい加減。 音楽家としての自分に興味が薄れつつの状況で他人の目を気にしなくなり、プライベートに近い”素”で作っているためか、今は暗い曲が多くなっている。
判明したこと… 次回アルバムに”お母さん”っぽい曲は、今のところゼロ。
[ "男" になってみたい? ]
男に生まれたかったと思ったことはない。 ユタ(沖縄・奄美地方の霊媒師)からは「あなたは男にうまれるべきだったねぇ」と言われた。 自分自身が男っぽいため、女性とどう接していいのかわからずに馴染めなかったり、女の子の会話を聞いても女の子の思考がわからない。 だが同時に女性のたくましさに憧れ、自分の母親に憧れ、中学生の頃には自分が “お母さん” そのものになりたいと強く願うようになった。
判明したこと… お母さんに憧れすぎて、初期の曲にお母さんっぽい曲があると言われることがある。
(あの曲とかですかね)
(お母さん、おばあちゃん、姉が二人いる女だらけの家族だったのに、”女性に馴染めない”というのはおもしろいですね。)
[ 憧れだった "お母さん" ]
“お母さん” になれた安心感はある。 でも、産んだからすぐお母さんというわけではなく、自分はまだ発展途上のお母さんの途中。 表現することに憧れてこの職業についたが、自分はふつうの生活ができるんだろうか? 本当の自分はどこに行けばいいんだろう? と思っていたから、家庭をつくれたというのは有難かった。
[ 秋の大演奏会 ]
産後しばらくは体調を崩していて、身体も心も音楽に向かっていなくて、人前で歌うことが怖かった。 でも秋の大演奏会は、多くのパフォーマーと一緒にやることで音楽の楽しさというのを教わった。 DVDで沢山の人にみてもらえるのは嬉しいけど、自分の映像を見るのが苦手。 映像だと、その瞬間の自分が緊張している様子が100倍のオーラになって降り掛かってきてすごく苦しい。
判明したこと… 安藤裕子は、普段の自分のライブだと、死ぬかもしれないという感じで歌っている。
[ スペシャルプレミア・シンフォニック・コンサート ]
バンド音楽は”ゆれ”だと思っていて、いつもは、そのゆれのなかに共鳴をさがしながらやる感覚。 でもフルオーケストラとのライブは、譜面を演奏している整頓された音のなかに、ゆれをつかさどる歌がはいって、その歌と一緒に演奏してもらう。 歌はどこまで演奏によっていくべきなのかなど、どうマッチするのかという不安があるとのこと。
[ アコースティックライブ ]
出来るだけお客さんとの距離が近く感じられるようにとやっているのがアコースティックライブ。 バンドライブに比べてもっと個人的な感じで、安藤裕子の音楽のパーソナルな部分が多いと思う。 次のライブは、タカシくん(山本タカシ)のスケジュールがあわなくて違うギタリスト(設楽博臣[愛称:たらちゃん])とやることで、違う雰囲気の舞台になるのではないか。
[ "女" の映画 ]
“女” で思い浮かぶ映画というと『サンダカン八番娼館 望郷』。 これは “女” というものを考えさせられる映画。 映画の中のように懸命に生きた人たちに対して、平和な時代を生きている自分を恥ずかしく思うのと同時に、自分はラッキーなんだという安心感がある。 今は昔と比べると女性が守られている社会が先人たちの戦いのなかで築かれているが、本来、女は弱い生き物。 今の平和のありがたみを感じるからこそ平和を望む。
私の感想
『chronicle.』でやりたいことを一通り出し切った、ということのようですが、「あぁ、やっぱりな」という感じは正直しています。 『chronicle.』の後、なかなかニューアルバムが出なかったのも、すぐには納得の出来る形がつかめなかったのでしょうね。
そしてようやくリリースされた『JAPANESE POP』も、曲から受ける印象はこれまでとは明らかに変化していましたし、私にはちょっと首をかしげてしまうような、どこか納得出来ない感覚があったのは、単なる錯覚というわけでもなかったということでしょうか。 アルバムに携わった自分以外のアーティストのことばかりをやたらと褒めていたことにもどこか不自然さを感じました。
参照: JAPANESE POP アルバム印象
『勘違い』で持ち直したと私は思いましたが、どうも安藤裕子本人はあまり納得していない様子。 次回のアルバムでは自ら生み出す曲は暗い曲ばかりだと言っており、だからこそ今、アルバム全体のバランスをとるために宮川弾氏らと曲作りをしているんだろうと思います。
自ら生み出す曲はそのままでいいと思います。 アルバムとしてバランスをとることについては、どちらかといえば気にするアーティストだと思いますから、結局はそれなりに緩急のついた良い感じのアルバムに仕上げてくるのだろうと期待しています。
2013年4月19日 18:51|
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なんと、「2013 spring」 に引き続き、5月12日発売予定の『Nuugy (ヌージィ) 2013 summer』で安藤裕子が3度目の表紙を飾ることが発表されました。
完全同意のキャッチコピーです(笑)
この号から全4回にわたり、デビュー前から今に至るまでの軌跡をつづる連載もスタートするということです。
季刊誌だから、これから1年ぐらいは安藤裕子ファンとして『Nuugy』から目が離せなくなりました。
表紙写真は、挑発的雰囲気があった前回とは趣きが変わり、やや昔のグラビア写真のような、ソフトフォーカスでセピア色の”アンニュイ”なテイストを漂わせます。 動きのある、ゆるふわナチュラルヘアの安藤裕子からは「素顔」が伝わるようで素敵です。
連載内容と絡めて、「原点を振り返る安藤裕子」といったところでしょうか。
それにしても、表紙を2号連続で飾るってすごい。 『Nuugy』誌の中の人に確実に熱心な安藤裕子ファンがいらっしゃるのですね。 いっそのこと、季刊『Uchary』っていう雑誌名にしてしまってはどう? (笑)
■ 『Nuugy 2013 SUMMER』 (購入/予約)
2013/5/12 更新
■ 『Nuugy ヌージィ 2013 SUMMER VOL.009』 レビューはこちら
2013年4月4日 18:06|
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