キャラクター

安藤裕子は、今でこそ音楽界では実力ポップシンガー、または多彩なシンガーソングライターと認知され、ファッション雑誌ではモデルとなるなど、同性からも異性からも憧れの対象となっているが、ここに至るまでの道は平坦なものではなかったようだ。

安藤裕子が小学生の頃、両親は離婚。自営のお店で働く母と、勉強の出来る長女、活発な次女の二人の姉をもつが、子どもの頃の安藤裕子は、外では人とうまく話せず、存在感が無く、一人道草したり風と会話しながら誰も待たない家に帰るような鍵っ子の毎日を送り、幼少期から体が弱かったこともあり、家で絵を描いたりして一人遊びをすることが多かった…

切り絵

安藤裕子自身とは真逆の天真爛漫で明るく強い母親、デキル姉達に対して、憧憬とコンプレックスを持ち、臆病な性格で、うまく自分自身を表現できないため、感情を抑え、溜め込むようにしてきた。その結果、思春期には、偏屈で攻撃的で突っ張った態度をとるようになってしまった。(学校ではPTAからも危険な不良児童とみなされていたらしい)

高校生の頃には、それなりにヤンチャなコギャルとなり、洋楽パンクロックやハードコア系バンドに嵌り、クラブで踊ったり、男友達らと遊びに出たりと、現在の安藤裕子からは少々イメージしにくい感じだったようだ。(デビュー直後の安藤裕子の写真やメッセージ動画などを見ると、若干その面影が伺える気もしないでもない)

現在の安藤裕子のキャラクターを一言で語るのは難しい。上記のすべての性格、性質を引きずりつつも、いくらか器用になり、まるくなり、強くなりました。といったところか。つまり、時を経て大人になったら、個性的かつ共感できる素敵なアーティストになっていたわけです。

趣味・嗜好

安藤裕子の趣味といえば、幼少期からの一人遊びである「落書き」。といっても本人がそう呼んでいるだけで、本当は立派な「絵画」となっているものも多い。モチーフに多いのは「植物」。木の枝、葉っぱ、道草、蔓草などを丹念に描く。現在のCDジャケットデザインなどの自身のアートワークに生かされているのは言うまでもない。

「読書」は、幼少期に読んだ絵本や童話にはじまるが、その嗜好は現在まで続いているようだ。4枚目のフルアルバム『chronicle.』の歌詞カードや、安藤裕子のビデオクリップ集DVD『the Moon and the Sun.』には、安藤裕子本人によって描かれた絵本がついている。
小説は、子どもの頃から金田一シリーズ大好きっ子だったこともあり、横溝正史をリスペクトしている。最近では遠藤周作の作品を嗜んでおり、自身の楽曲作りの一つのきっかけとなったりもしている。基本的に女性が書く作品よりも男性が書く作品を「感情移入できる」として好む。(女友達の輪の中にいるよりも男友達とワイワイ遊んでいる方が落ち着くというぐらい、男性的な感覚をもつためか) その他、坂口安吾や村上春樹も読むようだ。また、漫画もいろいろ読んでいるようで、『デトロイト・メタル・シティ』に嵌ったり、ある雑誌では、宮崎駿の原作漫画『風の谷のナウシカ』をおすすめの本として紹介していたりする。

高校生の頃から自主制作作品を撮り、本格的に映画制作者になろうとしていたぐらいなので、当然「映画」に対するこだわりはある。ここでも原点は金田一シリーズで、市川崑監督をリスペクトしていた。ホラー映画好きといっても、派手でうるさい洋画などではなく、こういった日本の暗く古い趣のある作品に惹かれていた。

ハート

カメラ(スチール)好き。カメラ片手に街や公園を散策したりする。基本的にはフィルムカメラが好きで、ポラロイドカメラも出来上がりの微妙な色合いなどを好んでいたが、フィルムの生産中止などもあって、最近は一眼のデジカメを使っている。ただ、オフィシャル日記の写真はほとんどすべてが携帯電話(現在ではiPhone)のカメラで撮られている。

食べ物の好みは、基本的に和風のようである。玄米を中心として、野菜を多く摂る。健康の為に雑穀も摂る。そして大の肉好き。オフィシャルサイトでは、うに、レバ刺しが好きとあるが、食べすぎて今はそれほどでもないそう。魚を食べることも多いようだが、海老と蟹は甲殻類アレルギーとなってしまった為、好きだけど食べられない。砂々したリンゴとバナナが嫌い。体調維持のためにも出来るだけ自宅で自炊することを努めており、オフィシャル日記のネタに出来上がった手料理を紹介することもよくある。

音楽。これを生業としているのに、安藤裕子は日常生活であまり他人の音楽を聴かない。プロデューサーのアンディに薦められたものはとりあえず聴く。そんな程度。ビートルズのリマスター版は買ったらしい。小学生の頃はC-C-Bに憧れ、中学生の時はほとんど聴かず、高校生になって洋楽パンクロックに嵌る。CHARAの楽曲を歌ったことがこの道に進むきっかけとなり、自身が音楽作りを目指すようになって参考に聴いたのが70年代初期の日本のロックバンド「はっぴいえんど」。そして憧れの歌手は「研ナオコ」だという。てんでばらばらだが、良いものは良いのだ。

タレント性

「のうぜんかつら (リプライズ)」のヒット時に、いくつか地上波テレビの全国放送の有名歌番組に出演を果たしたが、この時のぎこちなさ(キョドっている)は、かなりのもので、出演中に泣き出す始末。現在、地上波の全国放送テレビ番組にはほとんど出演しないのは、このときの様子を見た事務所の社長に「裕子ちゃんはテレビ出ない方がいいね」と言われたため。(現在のテレビ出演は、地上波ローカル番組、または、WOWOW、スカパー!などの民間衛星放送にとどまる)

自身のライブ中でも、歌を唄っている間は良いが、しゃべり(MC)になると途端に声が小さくなり、沈黙が続くこともある。これは観客も比較的おとなしめの人が多いことが作用している面もあるかもしれない。アナウンサーの友人からはMCのレッスンをしろと叱られているが、現在では私はこれでいいんだという開き直りもある。

ルックス

1977年生まれの安藤裕子。お母さんになっていても全然おかしくない年齢だが、そのルックスはとってもキュート。目は大きな二重で、鼻筋も通った、色白で小柄な日本美人。髪型はよく変わるが、基本はロングセンター分けで、元々は直毛のようだが、毛先まで軽くウェーブさせていることが多い。若干ガニ股のため、ステージ上で立つ姿は、本人の内心とは裏腹に威風堂々と見える。

現在に近いところで公開されていた際の安藤裕子のプロフィールでは、誕生日は1977年5月9日である。(この誕生日が偽りであることを本人が公式Facebook上で語っている) 身長は158cm、もしくは157cmとある。(私が目の前で会った本人はもうちょっとちっちゃく見えたが… 153cm、154cmぐらい?)

ちなみに、女優活動時代(タニプロモーション所属時)の公開プロフィールでは、誕生日は1978年4月30日、身長160cm、体重48kg、スリーサイズ(B/W/H): 82/60/84 (80/60/84の場合も) … とあった。

ファッション

寝ぼけてパジャマを着たまま学校に登校しかけた経験をもつぐらい、少女時代はファッションには無頓着だったようだが、成長とともにちゃんとオシャレさんになりました。ファッション雑誌では、提供される洋服の他に、こだわりの個人のアイテムを織り交ぜて自分流にすることが多い。森ガールの元祖的な印象をもたれることがあるが、確かに部分的にそういった要素も無いわけではないが、普段着に身に纏うファッションは、一種コスプレ的になってしまった典型的な森ガールのそれとは印象が違う。もっとシンプルで大人の雰囲気がある。気に入ったものは何年でも同じものを着るタイプ。以前は古着をメインにした、すこしパンキッシュなスタイルに独自のアレンジを施したりしていた。それはまるで自身のアートワークの延長線の感覚で捉えているよう。また、落ち着いた古風な和装や小物なども好む。

知人交友関係 (自身の音楽活動以外の)

堤幸彦 … 安藤裕子の才能を早くから認め、映画主題歌に採用するなど、恩人。
一青窈 … 森村学園時代のバスケ部の先輩。「安藤」と呼び捨てにする。
清水ミチコ … 安藤裕子ファン。一青窈とも友人。最近の安藤裕子のライブ前の館内放送を担当。
吉高由里子 … 雑誌連載時の企画で浅草デートをし、将来の夢を語り合って以来の姉妹のような関係。
CHARA … 安藤裕子の憧れの人。彼女の楽曲が音楽の道へ進むきっかけともなった。
Love Me Do (ラブちゃん) … ラジオ番組で共演。おかまキャラの占い師芸人。

参考文献

  • 朝日ジャーナル別冊 1989-2009 時代の終焉と新たな幕開け 希望の思想はどこにあるのか?
  • 2005年 hot express music magazine 安藤裕子 special interview
  • 安藤裕子 THE BEST '03~'09 初回版限定ブックレット「唄い前夜 - さよならに向けて -」
  • JILLE 2008年6月号 U-bee Chronicle